| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(口頭発表) E2-08 (Oral presentation)
性的二型、即ち雌雄間での表現型の違いは、生物界において広く見られる現象である。性的二型の進化を考える上で、個体の成長ステージ間のconflictという観点はこれまで見過ごされがちだった。即ち、成体において有利な形質が、性成熟前の個体においても有利であるとは限らない。そこで本研究では、個体の成長を通じて二次性徴形質の発生を追い、そのontogenetic trajectoryを表現型として定量化することによって、age-specificな形質の発生に関わる遺伝的基盤を明らかにすることを試みた。メダカOryzias latipes complexはメダカ属で唯一の温帯種であり、地理的分布域が広く緯度間で形態や生活史形質に大きな変異がある。特にオスの鰭長には大きな集団間変異が存在し、低緯度集団のオスほど尻鰭、背鰭ともに長く、結果的に性的二型の程度が大きい。また、この性的二型の程度の緯度間変異は、成長過程における鰭の伸長プロセスの差異によってもたらされることが分かっている。本研究では、緯度の異なる2つの野生集団(青森、沖縄)を交配し、鰭の伸長プロセスを解析し、両野生集団の全ゲノム解読結果に基づいてデザインしたカスタムSNPアッセイ系を用いて、鰭の伸長プロセスのQTLマッピングを行った。その結果、age-specificに働く複数のQTLを検出することができた。