| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-035 (Poster presentation)
温帯植物の約7割は有性繁殖と無性繁殖の両方の繁殖戦略を保持している。有性繁殖は無性繁殖に比べて2倍のコストがかかる。しかし、病原体や寄生者に対抗進化できるために無性繁殖と比べて有性繁殖は有利であるという説、病原体=赤の女王仮説が存在する。この説では稀な対立遺伝子を持つ植物個体ほど有利になるため、有性繁殖によって遺伝的変異が生み出される状況がウイルスに抵抗性のある状態となる。この説の信憑性は高いが野外集団における検証例は少ない。そこで、種子繁殖とは別に、ムカゴでクローン繁殖するヤマノイモ4個体群(秋田、つくば、京都、岡山)の遺伝的多様性とウイルス感染率の関係を明らかにする。200平方メートルに存在する全てのヤマノイモ個体の葉をサンプリングし、状態(種子実生、実生、ツル)、性(オス、メス、非開花)、ウイルス病徴の有無を野外にて記録した。ヤマノイモの遺伝的多様性はマイクロサテライト8遺伝子座の多様性に基づいて算出し、ウイルスの感染率はRT-PCRやLAMP法による判定に基づいて算出した。これらをもとに、野外ヤマノイモ個体群において、病原体=赤の女王仮説がなりたつのかどうか議論する。