| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-036 (Poster presentation)
Cardamine trifoliaは、タネツケバナ属の中で系統発生的に古くから独立の分類群を形成している。ヨーロッパのアルプスとカルパチア山系のみに分布する固有種で、亜高山帯林床に生育し、しばし大きな集団が維持されている。種子繁殖とともに地下茎によるクローン成長によっても新たなラメットを形成するクローナル植物である。一方、種子繁殖に関しては、自家不和合性であることが知られているが、野外集団内では種子生産が見られ、種子は正常に発芽・成長する。
しかしながら、AFLPやマイクロサテライト解析では集団内・間においても変異がほとんど見られない。そこで、RAD-seq (Restriction site-associated DNA sequencing) によりゲノムワイドに多数の領域の変異を調べることにより、遺伝的変異を解析した。また、ゲノム中のどのような遺伝子に変異が見られるかについても解析を試みた。その結果を元にこのような起源が古く集団の歴史が長いクローナル植物種についての集団の形成・維持プロセスについて考察を行った。