| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-040 (Poster presentation)
マツ科トウヒ属のエゾマツ(Picea jezoensis)は、北海道、サハリン、千島列島に広く天然分布し、北海道では針広混交林を構成する主要な針葉樹である。近年になり、天然林のエゾマツ資源の劣化が指摘され、資源回復に向けた様々な取り組みが行われるようになってきており、発表者らは、地理的変異の研究や人工造林に関係する各種技術開発に取り組んでいる。エゾマツ天然林の保存方策や人工造林の種苗の配布区域を策定する際には、地理的な遺伝変異に関する情報が必要である。エゾマツの地理的変異を解明する研究の一環として北海道内の天然分布域をほぼ網羅する15産地から得られた材料を用いて、球果、種子の形態や種子の発芽タイミングの地域間差、集団間差の解析を行ってきた。今までに球果および種子の形態の解析では、明瞭な集団間差は見られず集団内変異が大きいこと、年平均気温が低く標高の高い地域産の種子は、発芽タイミングが遅れることを示した。今回は、種子発芽試験の温度を10-20℃と5-15℃の2つの変温条件に設定し、昨年の25℃の定温条件の結果と比較した。昨年同様、発芽率および発芽タイミングは種子産地および採種個体により大きく変動した。全体的に設定温度が低くなるほど全体の発芽タイミングが遅れる傾向を示したが、設定温度を変えると発芽タイミングの産地間の順位が異なる結果が得られた。