| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-048 (Poster presentation)
片親遺伝を示し、突然変異率の低い葉緑体DNA (cpDNA)上の一塩基多型(SNP)は、植物種を対象とした分子系統学、分子進化学、集団遺伝学など、様々な研究分野の解析で利用される。どのような解析においても、cpDNA上の多くの領域から少しでも多くのSNPを同定・解析に利用することで、より真実に近い結論を導くことができると考えられる。しかし、突然変異率の低いcpDNAにおいて、SNPの探索とマーカー化はしばしば骨が折れる作業となってしまう。
近年の次世代シーケンサー(NGS)の発達は、短時間で膨大な塩基配列情報の取得を可能にし、上記の問題を解決する有力な手段となり得る。実際に、NGSを利用して葉緑体ゲノムの構造解明に関する研究が多数報告され始めている。ところが、必ずしも葉緑体の全ゲノムの解明を目的としない場合、すなわち、可能な限り多くの領域から、簡便かつ短期間、低コストでcpDNA上のSNPを同定・マーカー化することに目的を絞った場合、既存の研究で報告されている方法には煩雑な行程が多く、また、標的種の近縁種で参照配列が利用できない場合には適用しにくいなど、課題も多い。そこで本研究では、既存の手法を集約化した簡便な手法;多くの被子植物のcpDNAに適用可能なプライマーの開発、Long Range PCRによるPCRアンプリコンの作成、NGSによる塩基配列の取得からcontigの作成、獲得配列のcontigへのmappingによるSNP探索に取組んだ。本発表では、一連の具体的な手法と効率性について報告するとともに、その発展性についても議論したい。