| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-116 (Poster presentation)
外来植物は一般に、原産地における多くの植食者から解放されていると考えられている。しかし、植食者が侵入することで、侵入地において再会する可能性がある。外来植物セイタカアワダチソウは外来の植食性昆虫アワダチソウグンバイ(以下グンバイ)と日本で再会し、グンバイの侵入が防御形質に急速な適応進化を生じさせていることが分かってきた。本研究の目的は、原産地の北米と侵入地の日本のセイタカアワダチソウのグンバイに対する防御形質を明らかにするために、日米における両者の関係を比較することである。まず、北米(16集団)と日本(47集団)において、グンバイの個体数の調査を2年間行った。次に、相互移植実験により、両地域でグンバイの密度が異なる北米(12集団)と日本(8集団)のセイタカアワダチソウの集団について、日本と北米のグンバイに対する抵抗性をそれぞれ測定した。
野外集団において、グンバイの密度は、北米の集団間において変異が見られた一方で、日本では未侵入地域を除いてどの集団でも高かった。さらに相互移植実験から、セイタカアワダチソウのグンバイに対する抵抗性は、北米ではグンバイの密度が高い集団でグンバイへの抵抗性が高いことが示された。また、日本の圃場では北米に比べて、グンバイの成長率が高かった。これらの結果から、原産地でもセイタカアワダチソウはグンバイに対して防御形質が局所的に適応しており、侵入地でのグンバイの強い選択圧によって、防御形質の適応が短期間に再び生じていることが示唆された。