| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-121 (Poster presentation)

イヌビワにおけるイヌビワオナガコバチの産卵とその影響

木下智章(佐賀大・農)

イチジクと花粉を媒介するイチジクコバチは、授粉/産卵を介して、相利共生関係にある。雌性両全性異株(機能的には ”雌雄異株”)のイチジクでは、”オス” の木では授粉/産卵が行なわれ花粉を媒介するイチジクコバチが成長し、”メス” の木では授粉のみが行なわれ種子ができる。”オス” の木から羽化するイチジクコバチのメスは、イチジクにとって、唯一の花粉媒介者であり花粉そのものである。一方、イチジクには寄生性イチジクコバチも存在し、その幼虫は花粉を媒介するイチジクコバチまたはそれにより受粉された子房を食べて成長する。よって、寄生性イチジクコバチの産卵は、花粉を媒介するイチジクコバチの減少をもたらし、イチジクにとっても不利益となる。そのため、イチジクの花のうは、寄生性イチジクコバチの産卵を防ぎ/減らし、羽化する花粉を媒介するイチジクコバチを守る/増やすように進化すると考えられる。

イヌビワには、花粉を媒介するイヌビワコバチと花のうの外から産卵するイヌビワオナガコバチが存在する。今回の発表では、イヌビワの花のうの形質とイヌビワオナガコバチの産卵についての予備調査の結果と今後の展望について述べる。


日本生態学会