| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-134 (Poster presentation)
富士山北麓の森林限界付近に生息するホシガラスは、裸地や、苔のパッチ状群落、カラマツ林内にゴヨウマツ種子を貯蔵し、冬〜晩夏まで利用している(西・別宮2014)。貯蔵された種子のうち、ホシガラスによる被食を免れた種子たちは、どのような運命をたどるのだろうか?また貯蔵された場所によってその後の運命はどのように異なるのだろうか?本研究は、貯食場所と、種子の被食率、発芽率、成長速度、死亡率との関係を明らかにし、ホシガラスの貯食行動がゴヨウマツの更新動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。
調査は森林限界付近の裸地、苔パッチ群落、カラマツ林内に10m×10mのコドラートを設置し、ホシガラスによるゴヨウマツ種子の食べ跡数、発芽した実生数、死亡した実生数を2013年5‐9月の間、毎月計測した。その結果、ホシガラスによって貯蔵された種子の60%が被食され、40%が食い忘れられていた。食い忘れられた種子の55%は発芽したが、そのうち22%は発芽後2ヶ月以内に死亡していた。発芽し生き残った実生は、貯蔵された種子の13%に相当した。本講演では、これらの値や稚樹の成長速度が貯食場所によってどのように異なるのかを報告し、ホシガラスの貯食行動がゴヨウマツの更新動態に与える影響を考察する。