| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-136 (Poster presentation)

ミツバチが花の種間競争と分布拡大に与える影響

小田安希子(奈良女・理), 横山潤(山形大・理), *瀬戸繭美(奈良女・理)

世界中の多くの地域でミツバチの減少が問題となっている。ミツバチが減少する原因は、複合要因によるものであると考えられている。その要因の1つにミツバチの免疫低下が挙げられている。ミツバチの免疫は、複数種の花粉を摂取した場合の方が単一種の花粉を摂取した場合よりも高くなるという結果が報告されている。よって、ミツバチの健康にとって、植物の多様性は重要であるといえる。しかし、近年の人間の土地開発により植生は分断傾向にある。これにより、ミツバチが訪花しにくい場所が生じ、植物の多様性の減少につながっているのではないかと考えた。

そこで本研究では、ミツバチの棲息する環境において、土地開発が花の分布と花の種間競争に与える影響を調べることを目的とし、数理モデルを構築した。ミツバチの採餌行動と花の繁殖動態をモデル化し、ミツバチの訪花回数と花の種間競争により次世代の花の個体数が変化するものと仮定した。本モデルでは、花は 1 年生とし、2 種類の花の種間競争を考慮する。全てのミツバチは同一コロニーに属し、採餌行動範囲は巣から一定範囲内とした。これらの仮定のもとで、ミツバチと花の時空間動態を数値的にシミュレーションした。

はじめに、植生の分断が無い場合と植生の人為的な分断がある場合を模した2つの採餌環境に対してシミュレー ションを行い、ミツバチの採餌時の送粉による花の多様性への影響を比較した。次に、自家受粉のみを考慮した場合と自家受粉と他家受粉の両方を考慮した場合のシミュレーションを行い、花の分布傾向を比較した。


日本生態学会