| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA3-035 (Poster presentation)
固着生物の帯状分布は岩礁潮間帯における最も普遍的な生物分布パターンである.帯状分布は潮位に伴う内的自然増加率や種内・種間競争と消費の働き方が異なることで維持されている.
帯状分布は,数十センチの沈降と津波を伴った東北地方太平洋沖地震によって下方に移動し被度も減少したと考えられるが,その後は回復に向かうと予想される.この帯状分布の回復は、本来の生息潮位ではアバンダンスが増加する一方でそれ以深では減少する,つまり潮位による個体群成長率の違いが伴うと考えられる.この個体群成長率の違いは内的自然増加率,種内・種間競争及び消費の影響の潮位による違いに起因すると考えられる.帯状分布は大地震が周期的に発生する環太平洋火山帯の岩礁海岸にも普遍的に見られるが,地震後の帯状分布の変化とその背後にあるプロセスはほとんど明らかになっていない.
そこで東北地方太平洋沖地震後の帯状分布の変化とその背後にあるプロセスの解明を目的として,三陸沿岸の固着生物の複数の優占種を対象に1) 潮位に伴う被度の時間変化(目的1)と個体群成長率に及ぼす,内的自然増加率,種内・種間競争及び消費の影響の潮位による違い(目的2)を明らかにした.