| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-036 (Poster presentation)

高CO2濃度下での寄主―寄生蜂系個体群動態と進化的変化

Than Lin Aung, 鹿児嶋久美子, Deena Husein, *津田みどり(九大院・農)

地球環境変化要因のうち、大気中CO2濃度はもっとも着実に上昇している。しかし気温に比べて、植物-植食者-動食者系へのCO2濃度上昇の影響はあまり解明されていない。数少ない研究例が示すのは、植物を介したcascade-upが主要因となりやすいということである。そこで本研究では、収穫後の休眠種子を捕食する種子食昆虫(寄主)とその寄生蜂の実験室実験系を用い、植物(種子)が大気環境にほとんど影響されない状況で、高CO2濃度の被食-捕食(寄主—寄生蜂)系の個体群動態および進化的変化への影響を調査した。

結果、高CO2濃度に対する反応は、寄主については地理集団によって異なり、スクランブル型のため高密度になりやすい地理集団では幼虫の生存率や個体群レベルが高くなった。寄生蜂による寄生率は、高CO2濃度で累代実験した寄主の方が高かった。また、高CO2濃度で累代実験した寄生蜂は同様の寄主に対して寄生率が高くなった。これらの結果から、地球環境変化に対する地理集団間の違いや進化的変化が無視できないことが示唆される。


日本生態学会