| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA3-104 (Poster presentation)
ヒトリガ科コケガ亜科に属するヨツボシホソバには翅の色に性的二型がみられる。オスは灰色で、メスは黄色地に黒い斑点がある。色彩の性的二型に関する研究の多くは、主に配偶行動に着目しておこなわれてきた。しかしながら、生物の色彩は、捕食防御においても重要なはたらきをもつ。たとえば、生物の地味な色彩は背景に似せて捕食者から見つかりにくくする隠蔽色として知られ、派手な色彩は生物が毒を持つことを捕食者にあえて誇示して攻撃を躊躇させる警告色として知られている。
本研究では、ヨツボシホソバのオスとメスの色彩の違いが捕食防御の機能とどのように関連しているのかを検討した。捕食者であるシジュウカラにヨツボシホソバのオスとメスを1個体ずつ3回提示し、試行回数を重ねることでシジュウカラの捕食行動がどのように変化するのか調べた。対象実験としては、無毒であるハチノスツヅリガを与えた。もし翅の色彩に警告色としての機能があるならば、シジュウカラはエサの不味さと色彩を関連づけて学習し、試行を重ねるごとに捕食を躊躇するようになると考えられる。また、その効果は毒量が多いほど強くみられると予測される。シジュウカラがエサを見つけてから攻撃するまでの時間と捕食の有無を調べ、ヨツボシホソバのオスとメスとで違いがみられるのか解析した。