| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-107 (Poster presentation)

寄生蜂の密度とホスト探索行動

*宗 昂志(九州大・シス生), 平山 寛之(九州大・理・生物), 粕谷 英一(九州大・理・生物)

捕食寄生者にとって、同種他個体はホストを得る際の競争者であり、その存在や密度はホスト探索行動に様々な影響を与える。同種他個体の存在はホストを得る際の競争を強くし、探索行動を促進することが考えられる。しかし、先行研究ではホストの寄生状況や量、齢といった、ホストを介した探索行動への影響はよく調べられているが、ホストを介さずに同種他個体の与える影響はほとんど調べられていない。本研究では、同種他個体密度が上昇するとより探索を行うようになるという仮説を、アメンボの卵寄生蜂Tiphodytes gerriphagusを用い、同種他個体の存在および密度がホスト探索行動の意思決定に与える影響を調べた。この卵寄生蜂は潜水してホストであるアメンボ卵を探索する。実験ではメス密度を1,2,4,8頭とし、ホストは設置せずに探索行動を観察した。その結果、卵寄生蜂が1頭の時は潜水が見られず、2頭以上の時に潜水が見られた。よって、同種他個体の存在は卵寄生蜂のホスト探索行動を誘起した。また、卵寄生蜂の1頭当たりの潜水回数は密度増加に伴ってより頻繁に潜水してホスト探索を行っていた。このことから、卵寄生蜂は同種他個体から競争の強さを認識し、密度が高いとホストを得る際の競争が強くなるため、よりホスト探索を行うようなったことが考えられる。本研究では、初めてホストを介さずに同種他個体の存在および密度による影響を示した。


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