| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA3-127 (Poster presentation)
イシガイ科二枚貝(イシガイ類)が生息する木曽川の3箇所の孤立型ワンド(たまり)において、2013年10月に地形測量、11月11-12日の平水時にコドラート調査を行い、イシガイ類の水域内分布および生息場特性を検討し、あわせて面的な推定分布マップを作成した。コドラートの大きさは2m×2mであり、縦断5mピッチのトランセクト上に3つずつ設定した。各コドラートでイシガイ類の採捕、物理環境(水深、浮泥厚)の測定を行った。
すべてのたまりにおいて、イシガイ、トンガリササノハガイ、ドブガイ属の3分類群が採捕された。本解析スケールにおける3分類群の生息場特性は近似していた。また、それらの水域内分布には水深と浮泥厚の両方が関与していた。イシガイ類は、概ね水深20-60cmのレンジに生息していた。そのため、最大水深が大きいすり鉢状のたまりでは、イシガイ類は水域中心部を除くエリアに分布しており、推定分布エリアは岸際部と中心部を除く中間帯に見出された。全体的に浅いたまりでは、推定分布エリアは岸際部を除く全体に見出された。イシガイ類は、水深20-60cmのエリアのうち、浮泥厚が15cm未満の場所に概ね分布していた。浮泥厚は水深と関係がなく、浮泥が堆積したために浅くなっている場所や、深いために浮泥が堆積した場所があると考えられた。
以上から、過剰な浮泥の堆積がなく、全体に比較的浅いたまりは、イシガイ類の生息に適していると考えられる。発表では、イシガイ類の生息分布と底質の粒度組成や堆積有機物との関係についても示し、イシガイ類の水域内分布についてより詳細に議論する。