| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-143 (Poster presentation)

近畿地方における絶滅危惧種アユモドキの存続可能性分析

*渡辺勝敏(京大院理),一柳英隆(九大工院),阿部司(ラーゴ・岡淡研),岩田明久(京大院AA)

現在近畿地方で唯一知られている京都府亀岡市桂川水系のアユモドキ(アユモドキ科)個体群について,8年間(2006–2013)の野外個体群データに基づき,個体群存続可能性分析(PVA)を行った.個体群動態に関する個体数ベースモデルと齢構造モデルにおいて,密度依存性や環境収容量,遡上割合などについて複数の条件設定をし,50年後の絶滅確率をコンピュータシミュレーションで評価した.8年間の推定個体数は200–2300個体(平均約490個体,変動係数150%)と大きく変動した.PVAは,ほとんどの条件下で無視できない大きさの絶滅リスクを示した(48条件のうち45条件で23–83%).より信頼性の高い評価にはさらに長期の個体数モニタリングが必須であるが,この個体群は現実的な絶滅リスクに直面していると結論される.感度分析から,本個体群の存続性を高めるためには,極端に新規加入率が低い年が生じないよう,大規模な生物学的(外来種)・物理的環境悪化を抑えること,そして冬季の生残を高め,繁殖場所への遡上阻害を低減することが有効であると推察された.


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