| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA3-162 (Poster presentation)
生物多様性・生態系の保全管理を行っていくために、参加協働型調査を促進する必要がある。急速に社会に普及しているスマートフォンやGPSカメラを用いてデータを取得・集約できれば、「参加のしやすさ・楽しさ」と「信頼性・客観性」というトレード・オフ関係にある、参加協働に必要な特性を満たせる可能性がある。誰もが、どこでも気が向いた時に位置情報付き写真をとり、それをサーバに送付しさえすれば自動的にGISに格納される。その後、専門家の写真確認で種の同定確認を行うことができるからである。
上記に基づき設計したシステムを用いて、徳島県域を対象としたツバメ(ツバメ、コシアカツバメ、イワツバメ)、およびリンゴスクミガイの分布調査を、市民団体との協働で行った(1)。本研究ではその成果を用いて、アップされた写真の位置座標精度と種の同定精度の検証を行う。次に、種の分布情報と国土数値情報や自然環境GIS等の環境情報とを対応づけ、Maxentを用いた空間モデルを構築し、分布決定要因を明らかにする。これをもとに、要注意外来種であるリンゴスクミガイの拡大防止のために具体的に取り得る対策について検討する。
得られた情報数は、ツバメ458件、スクミリンゴガイ301件であり、利用可能な情報は、それぞれ412件、271件であった。写真による種同定の確認は問題なく行えた。また、サンプルデータの73%は30m未満の位置誤差に収まっていることから、本システムで得た分布情報から空間モデルを構築することは可能だと判断された。
(1) http://tokushima-inochiphoto.com/pc/、https://www.facebook.com/SmartBiosurvey