| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA3-167 (Poster presentation)
淀川の城北ワンド群は、国の天然記念物であるイタセンパラの主要な生息地であった。しかし、2005年を最後に本種は淀川から姿を消してしまった。イタセンパラが野生絶滅といえる状態にまで陥った原因の一つとして、2000年以降急激に増加したオオクチバスやブルーギルといった外来魚による捕食が大きく影響したと考えられている。このことから、淀川のイタセンパラを野生復帰させる活動の一環として、2010年から城北ワンド群の一部で集中的な外来魚駆除が実施されてきた。本研究ではそれらの外来魚駆除効果を検討するために、地曳網による魚類群集調査を行った。
城北ワンド群のうち、外来魚駆除活動が継続的に実施されてきた「駆除継続ワンド」2ヶ所、2012年11月まで駆除が実施されていた「駆除中断ワンド」1ヶ所、駆除活動がほとんど実施されていない「未駆除ワンド」1ヶ所で調査を行った。2013年4月から11月にかけて月に一度、地曳網による魚類採集を各ワンドで3回行った。
外来魚の捕獲個体数は「未駆除ワンド」で多く、「駆除継続ワンド」で少なくなる傾向が認められた。特に、ブルーギルの個体数は5月以降の「駆除継続ワンド」で顕著に少なかった。外来魚の個体数比率は「未駆除ワンド」で最も高く、「駆除継続ワンド」で低くなる傾向が認められた。一方、在来魚の捕獲個体数は、5月以降の「駆除継続ワンド」でやや少なくなる傾向が認められた。在来魚の種数および多様性指数については、「駆除継続ワンド」で高くなる傾向が認められた。また、台風18号による淀川大増水後の調査では、すべてのワンドで在来魚、外来魚ともに捕獲個体数は増加したものの、外来魚比率は低下した。以上の結果から、在来魚の多様性の回復および維持には、外来魚駆除の継続的な実施が効果的であると考えられた。