| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA3-173 (Poster presentation)
本発表では、DeLury法とプロダクションモデルを組み合わせて資源評価を行う新たな手法について紹介する。発表は東京湾のマナマコの資源解析を例として行う。
マナマコ(Apostichopus japonicus)は日本において古くから利用されてきた海洋資源であるが、近年の需要の高まりに応じて漁獲量が増加し、資源の減少が心配されている。しかしマナマコは利用できる生物学的情報が少なく、資源の状態を推定するのは困難である。また、岩礁帯に存在する個体は漁獲対象とならずに「隠れた資源」となり、これもマナマコの資源評価を難しくする一因である。我々は先述のモデルを用い、東京湾におけるマナマコの資源評価を行った。具体的には、DeLury法で年度ごとの漁獲対象資源量を推定し、それらの値に生息地の移動を考慮したプロダクションモデルを当てはめて各個体群パラメタをベイズ推定した。内的自然増加率に関して生物学的に妥当な仮定をおいた結果、近年は適切な漁獲率を上回っており、このままでは最適な資源レベルを大きく下回る可能性があることが示された。
異なる時間スケールの漁獲量データの変化を利用して対象魚種の生物学的パラメタを推定することができるこの方法は、他の魚種に対しても応用することができるだろう。