| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-176 (Poster presentation)

琵琶湖南湖西岸河川の河口部における外来魚と在来魚の分布の特徴

*水野敏明(琵環セ),大久保卓也(琵環セ)

(1)研究背景と目的:琵琶湖南湖におけるオオクチバスなどの外来魚の影響は深刻な状況である。そのため、在来魚の生息場所を発見し保全することが急務の課題となっている。本研究では、琵琶湖南湖西岸の河川の河口部を研究対象地域として、外来魚と在来魚の生息分布パターンを比較し、在来魚の保全に資する基礎的知見の充実を目標としてフィールド調査を行った。(2)研究方法:調査時期はアユの接岸遡上期で、外来魚の仔稚魚の拡散が本格化する前で、急激な水位調整が行われる前の6月上旬に焦点を絞り調査を行った。調査日は2013年6月5日と約一週間後の6月13日に行った。調査場所は、南湖西岸の河川河口部で河口地先に砂州頂と砂州浅場があることを条件とした。また河口部に水深40cm以上の深部も存在することも条件とした。その結果、天神川、雄琴川、磯成川、3河川を対象地域として選定した。河口先の水深40cm以下の砂州頂付近の浅場をSt.1として、河口最深部付近を取り囲む水深40cm以上の場所を深部と定義しSt.2として調査を行った。砂州頂付近と深部それぞれ投網を4投し魚類を採捕した。生息環境条件については、砂州頂付近と深部のそれぞれの水深、流速、水質調査を行った。底質は、現地で目視で確認し定性的に分類した。(3)結 果:河口砂州地帯と河口深部付近では、オイカワは統計的に5%有意で、アユは10%有意に砂州地帯に選好生息していた。またブルーギルは統計的に5%有意、オオクチバスも統計的に5%有意で、河口深部を選好して生息していた。(4)考 察:調査を行った6月上旬には、砂州地帯と河口深部の生息の選好について、在来魚は砂州地帯を選好する傾向が統計的に5%有意で明らかとなり、外来魚は統計的に5%有意で河口深部を選好していることが明らかとなった。この結果は、砂州等の浅場環境が在来魚の保護にとって重要であることを示唆していた。


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