| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-061 (Poster presentation)

幹の水ポテンシャル測定に基づいた熱帯モンスーン地域におけるチークの水利用特性の季節変化

*馬場亮輔,鎌倉真依,吉藤奈津子(京大・農), 田中克典(JAMSTEC),松尾奈緒子(三重大・生資),五十嵐康記(名大・HyARC),佐藤貴紀,田中延亮(東大院・農),小杉緑子(京大・農),チャチャイ・タンタシリン(カセ大・林),鈴木雅一(東大・農)

タイ王国MaeMoタワーサイトにおける長期観測結果から、熱帯モンスーン地域における落葉性チーク林では、年々変動する雨季の始まりとともに土壌水分の信号を受けて展葉・蒸散が始まること(Yoshifuji et al. 2006)、また乾季はじめの葉がまだついているうちから群落光合成や蒸発散が落ち始め(Igarashi et al. 2013)、それは土壌の乾燥に伴って気孔開度の指標である群落コンダクタンスが低下することが影響していることなどがわかってきている。これらの結果はいずれも、樹木の水利用特性とその環境応答が、熱帯季節林特有の季節変動パターンを決定づけるトリガーとなっていることを示唆している。

これまで、樹木の水利用特性に関しては、水ストレスに対する個体全体としての応答性に研究の主眼が置かれてきた。根と葉を結ぶ水輸送経路となる幹の通水性については測定手段がなく、樹木の水利用特性を個体内の通水性の制御機構から解明することは不可能であった。本研究では、チークの幹の水ポテンシャルの連続観測を世界に先駆けて行った。雨季の最中にあたる2013年8月、および乾季の初期にあたる2013年11月に、観測タワー周辺の2個体について数日間の連続観測を行った。また水利用特性の季節変化の指標として、2013年シーズンを通して葉の炭素安定同位体比をモニタリングした。幹水ポテンシャルの測定については現在試行段階ではあるが、乾季の初期で低下の兆候が見られた。本発表では、葉の水利用特性の推移と併せて考察を行う。


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