| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-074 (Poster presentation)

センダングサ属における花粉干渉と資源競争が分布決定に与える影響について

*吉崎雄宏,西田隆義(滋賀県大・環境),高倉耕一(大阪市環境研)

外来雑草が在来雑草を駆逐することはよく知られているが、侵入の順序と駆逐の順序がどのように決まるのかは分かっていない。この講演では、日本列島における4種のセンダングサ属雑草の歴史的盛衰が、花粉干渉と資源競争に基づいてうまく説明できることを示す。

在来のセンダングサは、かつて日本に広く分布していた。江戸時代後期から明治時代にコセンダングサが侵入したが大きな影響はなかった。しかし、大正時代に侵入したアメリカセンダングサはセンダングサを駆逐したのち、コセンダングサに駆逐されて分布域が水辺に限定された。現在、コセンダングサはコシロノセンダングサに徐々に駆逐されているようだ。

人工授粉実験の結果、センダングサはアメリカから、アメリカはコセンおよびコシロノから、コセンはコシロノからそれぞれ一方的に花粉干渉を受けることが分かった。混植栽培実験を行い頭花数を指標として資源競争について調べた。その結果、センダングサとアメリカ間には資源競争が認められなかった。しかしセンダングサはコセンから、アメリカはコセン・コシロノ両種から一方的に資源競争の被害を受けていた。コセンはコシロノから一方的に資源競争の被害を受けていた。

以上の結果は、センダングサがコセンではなくアメリカに駆逐されたのは、資源競争ではなく花粉干渉によること、アメリカがコセンに駆逐されるのは花粉干渉と資源競争の相乗効果であること、コセンがコシロに駆逐されるのも花粉干渉と資源競争の相乗効果によることを示している。これに対して、資源競争だけがある場合に駆逐は生じていなかった。

以上の結果から、センダン~アメリカ~コセン~コシロの順序に駆逐が生じることが、主に花粉干渉によって決まり、資源競争はその効果を強めると理解できた。


日本生態学会