| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-135 (Poster presentation)
植生遷移が進行にするにつれて、生活史戦略を異にする種が交代し群集組成は変化し、生態系機能も変化する。葉や材などの機能形質は、種の生活史戦略と密接に関係するため遷移に伴う群集組成や生態系機能の変化をモデル化する上で有用だと考えられる。そこで本研究では二次遷移系列において、出現種の機能形質と生態系機能の関係を明らかにすることを目的とした。
和歌山県有田川町の皆伐後の8年から約100年の二次遷移系列に、経過年数が異なる8サイト(20*20m)を設置した。各サイトにおいて、毎木調査を行い、出現する総計56種の樹木の葉・材形質(葉重/葉面積比や葉の強度、材密度など)を測定した。またサイトごとに生態系機能(葉回転率、土壌炭素、土壌無機態窒素、開空度、地上部現存量)を測定した。各生態系機能について、機能群(針葉樹・広葉樹、常緑樹・落葉樹)や形質の群集ごとの平均値やばらつきの指標が、どの程度定量的に説明するかを検証した。
葉回転率や地上部現存量については、機能群や形質の群集平均値を用いた各モデルはいずれも単独で高い説明量を有したが、両者を組み合わせることでモデルの説明力を上げることができた。一方、土壌炭素、土壌無機態窒素、開空度については、機能群単独のモデルによる説明力は低かったが、形質の群集ごとの指標と組み合わせることでモデルの説明力が大幅に上がった。これらの結果から、生態系機能のモデル化において、形質の利用が有効であると言える。