| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-143 (Poster presentation)
霧ヶ峰高原は生物多様性保全の上でも重要な半自然草原や高層湿原が分布しているが、近年、特定外来生物のオオハンゴンソウの侵入定着が問題となっている。本研究では特異な自然条件下の対象地域において、オオハンゴンソウに対する刈り取り及び抜根処理の継続的、また立地条件や群落型が異なる場合の効果を検証することを目的とした。
調査地Aは、在来種優群落型Iとオオハンゴンソウ優占群落型IIからなり、 2011年から2013年の2年間実施した。また調査地Bはオオハンゴンソウ優占群落型のみで、2012年から1年間実施した。処理区は年1回刈り取り区(A:10月、B:7月)及び年2回刈り取り区(A: 10月と翌年7月、B: 7月と9月)、抜根区(A:10月、B:7月)、無処理区の4処理区を設け、反復数は3~4とした。両処理ともオオハンゴンソウのみを対象とし、土壌の撹乱等には充分留意した。また、各プロットで植物社会学的植生調査と立地環境調査を行った。
オオハンゴンソウ優占群落では相対積算優占度が刈り取り区と抜根区で大きく減少し、在来の植物が増加したことで種組成や群落高、植被率、生活型組成、光環境等に変化が生じた。また、調査地Aでは2年間の継続処理でオオハンゴンソウを効果的に抑制し、調査地Bでは夏季の処理で、より速い時期に本種を減少させた。しかし、これらの処理区では本種以外の新たな外来植物の増加も確認され、これは抜根処理の場合は土壌撹乱が主な要因とされるが、刈り取り処理の場合は光環境の改善等によるものと考えられた。上記の結果、本地域におけるオオハンゴンソウは刈り取りや抜根で抑制が可能であるが、かつ他の外来種も含めた包括的な対策が必要とされる。