| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-144 (Poster presentation)
外来種の駆除、制御を考える際、侵入地における好適生息場所や餌生物、天敵の空間的分布パターン等を把握することが重要である。この情報を利用して外来種の脅威から抵抗性を持つよう生息地を管理することで、防除困難な外来種の適切な管理が期待される。
本研究では水元公園水産試験場跡地において人工的に改変された復元池、保存池1、保存池2の環境の異なる3つの池を利用し、池の中での環境要因及び天敵の分布の違いによる、本種の分布の偏りを調査して、このような環境にどのように本種が適応・分布しているかを明らかにすることを目的とした。
調査は池内を5m×5mのメッシュに区分し、メッシュごとにお魚キラーを設置、地点ごとの本種個体数、性比、頭胸甲長(CL)を記録した。また、本種とサギ類の関係性を調査するため、サギ類の利用場所をメッシュごとに記録し、並行してペリットを回収して分析を行った。環境調査として、メッシュごとに水温、水深、泥の深さ、被度、護岸までの距離、岸までの距離を記録した。
調査の結果、どの池においても護岸近くで生息数一番多かった。復元池においては、護岸である布団籠の石の隙間が本種にとって有効な生息場になっていると考えられる。保存池は四面コンクリート護岸であり、生物にとって悪影響を及ぼす環境であるが、本種にとっては護岸近くが最適な空間であると考えられる。よって、本種の生息する池では人工的な護岸形成は避ける必要があると考えられる。
また、サギ類の調査とペリット分析から保存池2において大型個体の分布とサギ類の利用場所には正の相関が確認され、ペリットの本種含有量も高かった。サギ類は本種の防除に有効な捕食者であることが示唆された。よって、サギ類の利用しやすい環境の創出が本種への捕食圧を高めるために重要であると考えられる。