| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-145 (Poster presentation)
日本原産のイタドリ(Fallopia japonica)は、欧州の半自然草原に侵略的に移入し、生態系に影響している。そのため、同種の生態的特性の解明が必要である。
本研究では、イタドリの移入と地上部の撹乱がおよぼす影響が個体群間で、どのように異なるかを栽培実験により評価した。
18個体の草本を植えた20×20×15cmの鉢の人工個体群に、イタドリを移植し、地上部を撹乱する実験を行った。個体群の構成種には、イネ科の3種とマメ科の3種の草本を用いた。播種後25日間栽培した後で、イタドリ移入処理では地下茎を植え、撹乱処理では、草本地上部を刈り取った。処理後、さらに56日間栽培し、刈り取り、イタドリと構成種に分け、それぞれの地上部・地下部の乾重量を求めた。個体群の重量および地上部と地下部の重量に、イタドリの移入、地上部撹乱、個体群の種がおよぼす影響を評価した。
イタドリの移入により個体群重量は有意に小さくなり、その程度には種間差があった。また、イタドリが移入すると、地下部への分配が増加し、その程度に種間差がある傾向が認められた。
以上より、イタドリが移入すると、個体群の物質生産は減少し、地下部への分配が増加する事が示された。また、それらの程度は個体群構成種によって異なる事が示された。今後は、イタドリが他種におよぼす影響の種間差がどのような機構で生じているかを詳細に検討する必要がある。