| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-146 (Poster presentation)

ニセアカシアの休眠/非休眠種子の生産比率は集団によって違うのか? ―河畔林と海岸マツ林に着目して―

*岡本健太(秋田県立大院),Tamara Fitters(Radboud University Nijmegen),松下通也,蒔田明史(秋田県立大)

北米原産のマメ科高木種であるニセアカシアは、鉱山跡地の治山緑化や蜜源植物などに利用されてきた。しかし、河川域や海岸マツ林などに意図せず分布を広げ、在来生態系への影響が懸念されている。このような背景から駆除・管理が求められているが、そのためには繁殖特性をよく理解する必要がある。ニセアカシアは栄養繁殖と種子繁殖を行う。このうち新たな場所への分布拡大には種子繁殖が大きな役割をもつと考えられる。ニセアカシアは休眠種子と非休眠種子を生産することが知られており、この性質は種子異型性と考えられる。本研究では、撹乱の頻度や強度、ニセアカシアの生育環境や栄養繁殖の状況など様々な違いがあると考えられる河畔林と海岸マツ林を対象として、結果・結実と種子異型性に着目し、生態系や集団によって結実と休眠/非休眠種子の生産比率に違いがあるのかを明らかにすることを目的とした。

調査対象は、雄物川中流域の河畔林4集団、秋田市にある秋田県立大学周辺の海岸マツ林内の4集団と能代市にある風の松原内の4集団とした。結果率・結実率を求めるために、1集団につき10幹程度を対象とし、9月に最大15 mまでの高さからさやを果序ごと採取し、1幹につき5果序の小花痕とさや数を数えた。また、さや中の種子の発達状態も観察した。休眠/非休眠種子の生産比率を調べるために、河畔林と海岸マツ林でそれぞれ4集団、1集団につき2~4幹選定し、吸水実験を行った。

その結果、河畔林の方が、結果率と結実率ともに有意に高い値を示した。一方、休眠/非休眠種子の生産比率に関して、非休眠種子の比率の平均値は河畔林より海岸マツ林の方が高かったが有意な差はなく、集団間よりも幹間の方がばらつきが大きかった。


日本生態学会