| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-148 (Poster presentation)
外来種であるオオクチバスMicropterus salmoidesは、在来種に対する悪影響があるとして、外来生物法の対象種に指定され、防除の取り組みは全国的に活発になりつつある。外来種の完全除去には長期間の駆除活動を必要とするため、生息場所の環境や個体群規模に応じた持続可能な駆除方法を用いる必要がある。そこで本研究では、鹿児島市直木町地内にある松元ダムにおいて、調査地の環境を考慮し、卵の段階に絞った駆除方法を確立するため、人工産卵装置の効率的な使用方法について検討する。すでに2012年の研究により、オオクチバスに対しては、3方を影で囲う形状(以下氷川ダム式)の方が覆われていない形状(以下松元ダム式)のものよりも誘因効率が高いということが分かっている。しかし、設置場所や構造等、どのような要因が人工産卵装置の選択性に影響を与えているのか明らかにすることはできなかった。そこで、松元ダム式と氷川ダム式の産卵装置を1組にして設置し、岸沿い8組、岸からのばした網場の先4組、ダム中央に8組の3か所で誘因効率を比較した。調査は、4/15から8/1までほぼ1週間ごとに行い、水中及び船上で人工産卵装置への産卵を確認するとともに、岸沿いを泳いで天然の産卵床を捜索した。オオクチバスの産卵は計23回(松元ダム式4回、氷川ダム式15回、天然4回)観察されたが、岸沿いではいずれの人工産卵装置にも産卵が見られなかった。装置の構造と設置場所による誘因効率の違いとその要因を解析したところ、後者については、水温よりダムの水位変動が影響していると考えられた。この結果は、2012年の結果と傾向が異なっており、環境の年変動にも留意する必要性が示唆された。