| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-159 (Poster presentation)
1979年の導入以降奄美大島では、外来種であるフイリマングースによって多くの希少種が捕食され、生息密度の低下や地域的な消滅が生じてきた。そのため、在来生態系を保全すべく、2000年から環境省によりマングース防除事業が実施されている。これまでの膨大な捕獲努力により、マングースの低密度化が達成され、希少種の回復傾向も確認されてきている。しかし、マングースが比較的高密度に残存している局所地域の存在や、分布域の拡大が懸念されており、確実に根絶を達成するためには、分布域の拡大を抑制し、残存個体を効果的に捕獲していくことが必要である。
本研究では、マングース防除事業における捕獲データを用いて、捕獲効率に対する各環境要因の効果やその経年変化を明らかにすること、さらに、未分布地域を含めた奄美大島全土における残存可能性を、地域別に評価することを目的とした。
マングースの低密度化が最も進んでいる、奄美大島北部を対象に、2002年~2011年の各年における1kmメッシュごとの捕獲データを目的変数とし、各環境要因を説明変数としたロジスティック回帰モデルにより解析を行った。この結果、マングースが河川や険しい尾根環境が多い地域に残存している事が示唆された。また、解析結果を奄美大島全土に外挿する事で残存リスクマップを作成し、奄美大島南西部の半島域等において残存リスクが高い事が示された。
今後は、残存リスクの高い地域へのマングースの生息域拡大を抑制すると同時に、踏査が難しいような険しい地形環境においても、さらなる捕獲圧をかけていく必要があると考えられる。