| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-160 (Poster presentation)
外来生物の影響を受けやすい在来生物の形質の把握は、在来生物への影響を抑制する保全策を講じる上で重要である。これまでに行われた研究では、外来植物の影響の受けやすさを生育型における高木と低木の比較のように、在来植物の各形質の中で比較していた。しかし、外来植物の影響の受けやすさと関係する形質間の相対重要性は明らかにされていない。外来植物が在来植物を減少させる主要な要因の一つである被陰の程度は、外来植物の展葉に伴い変化する。特に外来植物が高茎草本植物である場合、その影響は被陰が顕著になる前に成長し繁殖が可能な在来植物にとっては軽微かもしれない。
本研究では外来植物オオハンゴンソウRudbeckia laciniataL.の侵入した長野県原村の森林に1m×1mの方形区を140箇所設け、各方形区のオオハンゴンソウの被度、出現在来種数、各在来植物種の被度を記録した。そしてオオハンゴンソウの被度と各在来植物種の被度及び在不在の関係を解析し、外来植物の影響の受けやすさと関係する在来植物の形質を明らかにした。在来植物の形質としては既存研究で扱われた寿命と、生育型、最大高、散布体サイズ、散布型に加えて開花時期に注目した。
結果、各方形区に出現する在来種数はオオハンゴンソウの被度の増加に伴い減少していた。
各出現在来種の被度及び出現率のオオハンゴンソウの被度の増加による減少しやすさの違いは、生育型と開花時期の違いで説明された。オオハンゴンソウの被度増加により、高木種、6~9月に開花する種の被度と出現確率が減少したが、ツル植物の被度と出現確率は増加した。オオハンゴンソウの侵入地で保全対象種が高木種及び6~9月に開花する種である場合、優先してオオハンゴンソウの駆除を行うことが望まれる。