| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB3-036 (Poster presentation)
琉球列島久米島は沖縄県那覇市より西100kmに位置する大陸島、その面積は約59km2である。この島は亜熱帯に属しており、サトウキビを基幹作物とした農業が盛んであるが、赤土等の流出が問題となっている。しかしながら久米島の河川にはクメジマボタルやキクザトサワヘビをはじめとする固有種などが生息しており、前種は近年の減少傾向が著しいことから平成24年8月に環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅰa類へとランクアップされており、これらの種の保全が課題となっている。そこで演者らは平成25年より久米島を対象とした分野横断型の研究をはじめており、そのテーマの一つとして「生物多様性の評価と保全目標設定」を掲げ、農地・河川・河口・沿岸の代表的な生物をそれぞれ分担して調査を行っている。本研究ではクメジマホタルとその餌動物のカワニナを主要な対象種としており、カワニナなどの底生動物と赤土など環境要因についての調査を白瀬川など6河川において夏と冬の2回にわたって行い、両者の関係についての解析を行った。併せて、儀間川を主要な調査地域とする既存の調査データを用いて解析を行っている。既存のデータの場合、1.汽水域を含む河口域からすべての地点、すべての底生動物の分類群を使用した場合、NMDSのstress値は0.153、塩分濃度とPO4-P、電気伝導度が有意となり、2.河口域を除き、底生動物の分類群を限定(貝類・トンボ類・ホタル)した場合のstress値は0.091であり、赤土堆積の指標であるSPRSが有意な要因となることから、特に淡水域の生物種に対象を限定すると赤土との相関が高いことが示唆された。