| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB3-104 (Poster presentation)

福島県岩瀬郡唐沢山の植生と昆虫相および大型菌類相

*西村麻利子(神田外語大),飯島明子(神田外語大),木原正博((社)新聞協会),小林到((株)ZACCO),小林時康,高橋円,坪内美加,寺田美奈子,中山聖子(東邦大・東京湾セ)

ブリティッシュヒルズは福島県南端、栃木県との県境に近い唐沢山(標高1000m弱)に位置する学校法人佐野学園の英語研究施設兼宿泊施設である。施設周辺は森林に囲まれ、多くの動植物を身近に観察できる環境にあるものの、施設利用者の森林生態系や生物相に対する認識は低い。

演者らは、唐沢山の生物相の把握、周知を目的として、2011年度より様々な分類群において生物調査を行なってきた。施設周囲に作られた散策路から外枠約150m程度の調査地内において、これまで植物360種、菌類64種、陸棲貝類36種、昆虫類138種、両生爬虫類11種、鳥類64種、哺乳類17種を確認している。特に植物に関しては調査地の一部が過去に皆伐されたことから、なだらかな地形でありながらも様々な二次遷移の状態にあることが前年度までの調査で示されてきた。さらに当該地域は奥羽山脈の南端にあたり、植生的には日本海型気候区域にあたると考えられる。確認された植物種にも日本海要素が多く見られるが、中には対応する太平洋地域の種も確認され、気温や積雪量などの環境要因が入り混じった状態であることが予想されている。

2013年度は、生物相の補完調査として春・初夏・夏に踏査および各種トラップを用いた昆虫相調査を、秋には踏査による菌類相調査を行った。植物相調査は春・秋に行い、これまで未踏査であった場所において新たに群落組成を調べた。今回はこれらの生物相に合わせて、2011年5月より観測している気温と2014年冬に測定した積雪量の結果を報告する。また、調査地内の植生タイプと昆虫類の出現との関連性を推測する。

なお、この研究は神田外語大学研究助成金の助成を受けて行っているものである。


日本生態学会