| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB3-107 (Poster presentation)

1980年と2010年における日本の農業生産に関するマテリアルフロー解析

*三島慎一郎,松八重一代,木村園子D,江口定夫,白戸康人

【はじめに】日本の農地は国土の約11%を占めるに過ぎないが、化学肥料や家畜糞尿堆肥を通じて栄養塩類が施用されるため、N,P,Kフローと蓄積のホットスポットである。農地は降雨に伴う水の地下浸透や表土の流出に伴って環境の汚染・富栄養化を引き起こす可能性がある。一方で農地なくして人の食生活は成り立たない。よって環境影響に配慮しつつ食料を生産する必要があるが、まずどれだけの栄養塩類が施用されて食料と飼料して吸収・利用されているか、というマテリアルフロー解析(MFA)を行うことが必須である。本研究では、1980年と2010年について農地を中心とした食飼料生産と家畜排泄物・化学肥料による、N,P,KのMFAを通じて問題点を明らかにした。【方法】1980年と2010年の化学肥料の施用はポケット肥料要覧から求めた。食飼料生産物中の栄養塩類量は農林水産省統計と日本食料標準成分表、日本飼料成分表から求めた。家畜に関しては国内での飼料生産と輸入飼料の量を畜産物生産費と飼料要覧から求め、ふん尿排泄量を家畜排泄量推定プログラムと生雲(2001)から求め、堆肥化過程での栄養塩類の損失を差し引いて農地に施用されるとした。【結果】1980/2010年の畜産・作物生産に伴う窒素フローは、0.14/0.15TgN・飼料を生産、1.02/0.84TgNの飼料を輸入し、0.10/0.15TgNの畜産物を生産した。畜産物生産の増加は牛乳と卵の生産が増えたことによる。この生産過程で0.86/0.79TgNのふん尿を排泄し、敷料・副資材0.01/0.01TgNが加えられ、堆肥化過程で0.66/0.61TgN損失し、0.22/0.18TgNが堆肥として農地に施用される。0.61/0.41TgNの化学肥料が農地に施用された。以上の結果に食飼料生産量、P,Kフローを加えて報告する。


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