| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB3-116 (Poster presentation)

ミクロネシア連邦ポンペイ島サンゴ礁上マングローブ林における泥炭生成・蓄積過程の評価

小野賢二(森林総研東北), 平舘俊太郎((独)農環研), 森田沙綾香((独)農環研, 産総研), 藤本潔(南山大), 平田泰雅(森林総研), 田淵隆一(森林総研), Saimon LIHPAI(ポンペイ州政府)

マングローブ生態系における炭素動態を考える上で、地下部炭素蓄積プロセスに関しては従来情報が不足している。本研究では、マングローブ林の地下部炭素動態の一端を明らかにすることを目的とし、ミクロネシア連邦ポンペイ島Rhizophora林における泥炭試料およびリター分解試料を対象に、固体13C CPMAS核磁気共鳴法によって有機物の組成分析を、またイングロースコア法によって細根生産量の評価を行った。その結果、ポンペイ島Rhizophora林における細根生産量は5.7~7.2 ton ha-1 year-1であり、地下部細根の生産速度は極めて高かった。これはタイ東部トラート川河口域のマングローブ林における細根生産量1.9~9.4 ton ha-1 year-1に相当する値(Poungparn et al. 2009)であり、マングローブの細根が地下部泥炭蓄積の主要な供給源であることが明らかとなった。一方で、マングローブ泥炭の有機物組成は深度に因らず、極めて均一であり、その14 C炭素年代測定により比較的新鮮な有機物が蓄積していることが明らかとなった。これは、表層から1 m深の泥炭には根を起源とする新鮮な有機物が大量に供給され、それらを材料としてマングローブ泥炭が生成されているためであると考えられる。


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