| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB3-135 (Poster presentation)
森林内に運び込まれたサケの死体(ホッチャレ)は昆虫にとって重要な餌資源であるため,ハエを筆頭に,シデムシ,ハネカクシなどの甲虫類に分解,消費され,それらの補食者も集まることにより,一時的なホットスポットを提供する。
さらに,サケ分解跡地には高濃度のアンモニア態窒素が土壌に添加されることにより,Peziza urinophila(ウネミノイバリチャワンタケ),Coprinopsis sp.(ヒトヨタケ属),Tricholomella constrictum(モリノニオイシメジ),Hebeloma sp.(ワカフサタケ属)などのアンモニア菌の子実体(キノコ)が,時間経過とともに発生することが,サケ遡上河川における観察,および実験から明らかになってきた。分解翌年以降に発生するこれらキノコ類は,1年遅れて,菌食者,雑食性昆虫の餌資源となる可能性があると思われた。
そこで本研究では,ホッチャレ分解跡地に発生してくるキノコの遷移と並行して,それらに集まる昆虫を調査した。その結果,初夏から発生するCoprinopsis sp.を摂食するオオヒラタシデムシ幼虫,ヒラタシデムシ成虫,センチコガネ成虫などが確認された。これらはホッチャレの主要分解者であるハエ幼虫(ウジ)の補食者でもあることが確認されており,サケが消失した翌年においても,その波及効果であるキノコなど,餌を利用しやすい周辺に(次世代が)とどまっていることを示唆した。