| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB3-143 (Poster presentation)

八甲田山の標高傾度による土壌窒素無機化の変化と温暖化影響の解析2

*田中孝尚,黒川紘子(東北大院・生命),馬場光久(北里大・獣医),福澤加里部,柴田英昭(北大FSC),彦坂幸毅,中静 透(東北大院・生命)

現在、地球温暖化は自然環境や生態系に大きな影響を与え、その影響の程度や対策が懸念されている。特に寒冷な山岳地域ではもともと微妙な環境バランスによって保たれており、温暖化による環境変動に対して脆弱である。このような山岳地域では温暖化の影響が早い段階で表れることが考えられる。森林生態系における窒素・炭素の物質循環を考えるうえで森林土壌の役割は重要であり、土壌への温暖化影響によって植物や土壌微生物の活動が変化していくと考えられる。特にこれらの栄養源となる窒素無機化の変化は植物の環境変動に対する適応に深く関わっている。しかしながら、現在の地球温暖化による急激な環境変動に対して山岳地帯でどのような影響が生じるか十分に解析されていない。そこで、本州最北部に位置する青森県八甲田山において標高傾度に沿った温暖化による森林土壌の土壌窒素無機化に対する環境変動の影響について解析を行った。

現在までの移動培養による温暖化実験では、標高1000mのオオシラビソ林土壌と標高600mのブナ林土壌を400m~1400m までの6標高区でバリードバッグ法による培養を行った結果、環境条件を変えて同じ土壌を移動培養することにより無機態窒素量が増減することが確認された。2012年の培養では1000m土壌を低標高に移動させることにより硝酸態窒素は増加し、高標高域では減少していた。無機態窒素の変化量は600m土壌よりも1000m土壌の方が大きく、高標高域の土壌は温度変化に対してより低標高なブナ林の土壌よりも温暖化に対してよりセンシティブであった。本発表では2013年に行った新たな移動培養の組み合わせおよび各標高域における森林土壌の深度別(0~50cm)無機態窒素量の結果を加えて考察する。


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