| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
企画集会 T16-2 (Lecture in Symposium/Workshop)
宮崎県綾町は半世紀も前から人と自然が共生する町づくりを進め、自治公民館制度、有機栽培農業認証制度、照葉樹林の保全など先進的な町づくりを行ってきた。2005年から宮崎県綾町周辺の約1万haの森林において九州森林管理局、宮崎県、綾町、公益財団法人日本自然保護協会(NACS-J)、てるはの森の会(市民団体)が協定を締結し、官民協働で人工林を間伐し、自然林を復元する取り組みがはじまった。また、「国際照葉樹林サミット」を開催し、照葉樹林に関係する内外の専門家や保全活動を行っている団体に呼びかけ、保全活動を進めていくことを再確認した。こうした活動の延長線上にユネスコエコパーク(生物圏保存地域)登録への取り組みがあった。2011年9月に綾の照葉樹林がユネスコエコパークに推薦され、2012年7月に正式に登録された。日本では32年ぶりに移行地域を含めた新たなユネスコエコパークが誕生した。地域が主体となって世界的な取り組みに参加することが可能になったこと、核心地域を守るのは国や県だけでなく周辺の市町村であることを移行地域の設定という形で具体的に示した最初の事例となったこと、特定の種ではなく照葉樹林という絶滅危惧生態系をシンボルとして多くの主体の巻き込みに成功したことなど多くの成果を残した。登録後、管理運営のための組織作りや、いのち豊かな綾づくりプラン(綾生物多様性地域戦略)の策定に向けた市民参加の取り組み、大学研究機関との包括協定の締結、ふるさと納税の増加など登録後の最新の動向や登録後の変化、課題についても報告する。