| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(口頭発表) J1-23 (Oral presentation)

島嶼において送粉者は小型化するのか?ー本州と伊豆諸島の比較ー

*平岩将良, 丑丸敦史(神戸大・人間発達環境)

海洋島の生態系は、大陸や大陸島と比較して生物多様性が低いことが知られている。送粉者についても例外ではなく、送粉者の多様性低下は虫媒植物の繁殖に大きな影響を与える。例えば本島において大型送粉者が訪花していた植物が、海洋島では小型の送粉者が訪花し、花が矮小化することが報告されている。この例からわかるように、海洋島に生育する植物にとって送粉者群集の機能的多様性の減少(大型送粉者の減少など)は移入率や絶滅率に影響する重要な要因であると考えられる。しかし、先行研究では、本島と海洋島の特定の分類群の送粉者種数の比較や、特定の植物へ訪花した送粉者群集の比較に留まり、送粉者群集全体を定量的に調査し、送粉者の機能群構成の変化を評価した研究はほとんどない。そこで本研究では、本州と海洋島における送粉者群集の定量的な調査を行い、小型送粉者の種数および個体数が海洋島で減少するのか検証を行った。

調査は本島3地点(茨城県日立市・ひたちなか市、千葉県館山市)と海洋島5地点(伊豆大島、新島、神津島、三宅島、八丈島)で行った。各調査地に850mのルートを設定し、海浜植生の開花植物に訪花した昆虫を採集し、種数と個体数を記録した。また、訪花昆虫の体長・口吻長を計測し、大型種の種数および個体数が海洋島で減少するのか検証を行った。

その結果、本島から遠い海洋島では大型送粉者・小型送粉者ともに種数が減少し、種組成は変化しなかった。一方で、小型送粉者の個体数は海洋島 で増加していることがわかった。同一種内で個体数を比較すると、小型種では海洋島において個体数が増加しており、 これが海洋島で送粉者群集が小型化する原因であると考えられる。


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