| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-027 (Poster presentation)

オオヤマオダマキにおける雄期・雌期の蜜分泌パターンの集団間比較:花内距間での蜜量ばらつきとポリネーターの訪花行動の関係

*安藤美咲,板垣智之,松原豊,酒井聡樹(東北大・生命)

ポリネーターは個体内花間蜜量のばらつきを嫌い、ばらつきが多い個体での連続訪花数が少ないことが知られている。花あたり複数の距を持つ植物では花内距間での蜜量ばらつき戦略も可能であり、そのような花ではポリネーターの滞在時間が短いかもしれない。

本研究では、雄期と雌期の違いにも着目した。雌期では1回の訪花あたり少数の花粉を受け取る訪花が多数あると、花粉親の多様性が増し有利であると考えられる。一方花粉数は多いため、雄期では長い滞在時間で多くの花粉が持ち去られるのが有利であると考えられる。

そこで“雄期と雌期の蜜分泌パターン(総蜜量、花内ばらつき)はポリネーターの訪花行動(訪花頻度、滞在時間)に影響し、雄成功雌成功それぞれが増加する”という仮説を立てた。花あたり距を5つ持つ雄性先熟花を付けるオオヤマオダマキを用いて、距あたりの蜜量、ポリネーターの訪花行動、訪花行動と繁殖成功の関係を調査し、以下の結果を得た。

花あたり総蜜量:雄期>雌期 花内蜜量ばらつき:雄期<雌期

花あたり滞在時間:雄期>雌期 

雄期における花内距サイズばらつきとポリネーターの花あたり滞在時間:負の相関 

花に残った花粉数:訪花回数と負の相関 種子生産数:訪花回数と滞在時間と正の相関

距サイズばらつきと滞在時間の負の相関は、花内ばらつきが滞在時間を短くすることを示している。また雄期の蜜量多・蜜ばらつき小という蜜分泌パターンは雄期の訪花回数を増やし、雄成功が上げると考えられる。一方雌期の花内ばらつき大は滞在時間を短くし、種子の多様性を上げるのかもしれない。


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