| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-040 (Poster presentation)

春植物が生えていた場所には他の季節に何が生えているか

*大塚勇哉(明治大・農),倉本宣(明治大・農)

春にその生活史のほとんどを終え、雑木林に依存した生活史を持つ春植物という植物群は、雑木林の衰退とともに消えつつある。故に春植物をテーマとし、生態調査を行っている論文は多いが、そのほとんどは春季に行われており、春以外における春植物を指標する環境やその他の種についての研究例は少ない。そこで本研究では、春植物が消長した後に植生調査を行うことで、春植物のあとにどのような植物が優占するのか、またその植物が春植物にどのような影響を与えているかを明らかにするため、神奈川県境川沿いにある2つの異なる河畔林緑地(高木道正山河畔林緑地と古淵鵜野森公園)で植生構造と光環境の調査を行った。

調査区は河畔林の斜面上に20mの帯状区を2つずつ設置し、それぞれA、B、C、Dとした。また、その中に2m×2mのコドラートを2mごとに5つ設置した。計20か所のコドラートで種ごとの被度の調査を、4月、5月、6月、10月にわたって行った結果、春植物が消長した後の主な優占種は、ハナウド、コクサギ、ヤブミョウガ、カラムシ、アズマネザサであることがわかった。

春植物生育地の夏季における光環境を調べるため、2014年9月に各コドラートで相対光量子束密度を計測した。主に夏季に繁茂する高茎草本類を対象とし、測定は約1.5mの高さで行った。その結果、高木道正山のコドラートでは全体的に光量が少なく均一的であり、一方で古淵鵜野森では斜面の下に向かうにつれ光量が増加する傾向にあった。


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