| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-052 (Poster presentation)
多胚種子とは、ひとつの種子の中に複数個の胚が形成される種子のことである。多胚種子において、種子あたり実生数が多いほうが種子の生存率は上がるが、実生サイズは小さくなることが言われている。また、種子あたり胚数が増えると胚サイズが小さくなることや形態異常の胚の割合が増加することが報告されており、胚から実生への転換率の低下が示唆されている。しかし、実際に種子あたり胚数と実生数の関係は調べられておらず、胚数が実生サイズへ及ぼす影響も不明である。
本研究では、キジカクシ科ナガバジャノヒゲ(Ophiopogon japonicus var. umbrosus(Asparagaceae))を用い、胚数と実生数・実生サイズの関係を、種子サイズの影響も含めて調査した。種子は東北大学キャンパスの2地点から採集し、制御環境下で発芽させた。種子あたり実生数は、ある程度までは胚数の増加とともに増えたが、それ以上になると実生数は減少した。また、種子内の最大実生のサイズは胚数が少ないときに大きく、種子あたりの合計の実生サイズは実生数が最大になるとき大きくなった。このことから、胚数が多すぎると実生数や実生サイズに負の影響があることが確かめられた。また、ナガバジャノヒゲにおては観察されている胚数のうち中間あたりの胚数が種子成功にとっての最適であると考えられる。