| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-139 (Poster presentation)
市街化の進行等により都市域の雑木林は分断され、パッチ状に分散している。森林性の鳥類の都市への進出が1970年代から報告され、住宅地に囲まれた樹林では、鳥類に餌資源として利用される街路樹や、住宅で栽培されている園芸植物の種子が、林内に持ちこまれている。そのため、都市域の孤立林での園芸種の侵入に関わる鳥類の種子散布について把握することは、都市域の残存林の保全や管理上重要であると考えられる。
そこで本研究では、周囲を住宅地に囲まれている東京都武蔵村山市にある海道緑地保全地域において、園芸種の鳥類による散布動態について明らかにすることを目的とし、ルートセンサスによる鳥類相調査と園芸種の分布調査を行った。20mメッシュの各交点に設置した4m×4mのコドラートおいて園芸種由来と考えられる樹種の高さとその個体数を記録した。調査対象はトウネズミモチ、マンリョウ、ナワシログミ、ネズミモチ、ナンテンなど、液果をつける9種とした。また、調査地周辺で結実が確認された個体(トウネズミモチ、マンリョウ、ナンテン)について、飛来する鳥類の直接観察と結実量調査を行った。トウネズミモチの出現頻度が最も高く(77%)、次いでナワシログミ(75%)、マンリョウ(57%)が高かった。また、高さ1m以上の個体の出現頻度もトウネズミモチ(61%)が高く、ついでナワシログミ(50%)が高かった。さらに林内ではネズミモチ、ヒイラギナンテン、ナンテン、マンリョウ、トウネズミモチの結実とナワシログミの開花が確認された。2014年12月より直接観察を行った個体の健全果実の減少量を記録したところ、2015年1月までに全ての健全果実が消失し、トウネズミモチにおいてヒヨドリの訪問及び採食とシジュウカラとメジロの訪問が確認された。