| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-179 (Poster presentation)

亜熱帯常緑広葉樹林における土壌呼吸量の時空間変動とその制御要因の解明

*寺澤慧(琉球大院・農) 松本一穂(琉球大・農) 片山歩美(北大・北生圏セ) 高嶋敦史(琉球大・農) 大橋瑞枝(兵庫県立大・環境人) 谷口真吾(琉球大・農)

土壌呼吸量は森林生態系の炭素放出量の多くを占めるとされ、森林ごとの土壌呼吸量の時空間変動の解明は森林の炭素循環を理解する上で重要である。沖縄島での既存研究として、日本の温帯林と比較して土壌呼吸量が大きいことや (Ishizuka et al, 2006)、土壌呼吸量の空間変動が地形に対応していたという報告がある (酒井ら, 2012)。しかし、いずれもデータの時間的分解能が低く、測定地点数も少ないため、土壌呼吸量の季節変動や空間変動の全容の把握には至っていない。そこで、本研究では沖縄島の亜熱帯常緑広葉樹林において土壌呼吸量の時空間変動とその制御要因について検討した。

2013年10月から翌年11月にかけて、0.15haの調査区内の50ないし60地点において、土壌呼吸量、地温、土壌水分、およびリター被覆率の測定を毎月1回実施した。また、2014年8月より自動開閉式チャンバーを用いた土壌呼吸量の長期連続測定を行い、その季節変動や日内変動を評価した。

観測された土壌呼吸量の年平均値は5.4 μmol m-2 s-1であり、アジアの他の森林において報告された値と比較すると、温帯林や亜熱帯林より高く、熱帯雨林と同程度であった。土壌呼吸量には、地温の変動によってもたらされた明瞭な季節変動がみられた。季節変動への土壌水分の影響はみられなかったが、降雨直後の土壌水分の増加に伴い、土壌呼吸量は著しく減少するといった日内変動への影響がみられた。土壌呼吸量の空間変動パターンに季節変動はみられず、空間変動パターンとリター被覆率との間には相関関係がみられた。リターは土壌微生物の呼吸基質となることから、土壌呼吸量の空間変動には土壌微生物の呼吸量が影響している可能性が示唆された。


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