| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-189 (Poster presentation)
森林は様々な機能や役割を担い、その中でも特に森林の炭素固定機能が、近年の地球温暖化の観点から注目されている。森林の炭素動態を明らかにすることは、その林分の役割や構造を理解することに繋がる。したがって、様々な気候帯や樹種の違いに焦点を当てて測定し、比較することが重要である。
本研究は生態学的手法を用いて暖温帯のアカマツ林、コナラ林の炭素動態を測定した(2013月11月~2014年10月) 。さらに冷温帯における同樹種・同期間に測定された結果と比較し、その違いについて検討した。
調査は暖温帯 (埼玉県本庄市) 、冷温帯 (長野県軽井沢町) ともに近接したアカマツ林とコナラ林で行った。炭素動態を明らかにするために、毎木調査による成長量 (⊿B) の算出、リタートラップ法による枯死量 (LF) の測定、トレンチ法とルートバッグ法を組み合わせた微生物呼吸 (HR) の測定を毎月行った。⊿BとLFの和から生態系純一次生産量 (NPP)を算出し、NPPとHRの差から生態系純生産量 (NEP) を推定した。
SR (土壌呼吸) に関して、アカマツ林では1.8倍 (暖温帯: 9.5 MgC/ha/year, 冷温帯: 5.4 MgC/ha/year) 、コナラ林では1.4倍 (暖温帯: 7.9 MgC/ha/year, 冷温帯: 5.7 MgC/ha/year) 暖温帯の方が高い値を示した。またSRのうちHRが占める割合は、暖温帯ではアカマツ林で66 (61-68) %、コナラ林で75 (66-78) %、 冷温帯ではそれぞれ50 (35-59) % 、65 (64-66) %と両気候帯ともにコナラ林の方が高かった。
本発表では測定項目の相違点を気候帯と林分の違いから比較し、議論する予定である。