| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-191 (Poster presentation)

近接する冷温帯カラマツ林、コナラ林、アカマツ林における炭素動態の比較 ~樹木の生活形の違いとバイオメトリックNEP~

*鈴木庸平,友常満利,増田莉菜(早稲田大・院・先進理工),小泉博(早稲田大・教育)

森林生態系の生態系純生産量(NEP)を分析することは、森林の構造や機能を深く理解することに繋がる。そのため、NEPが影響を受ける様々な環境要因や森林タイプについて多くの研究が行われてきた。しかし、同じ時期かつ同じ環境要因下において異なる樹種の森林を比較した研究例は少ない。そこで本研究では、近接したカラマツ林・コナラ林・アカマツ林においてバイオメトリック法を用いてNEPを推定し比較した。

各3林分において土壌呼吸(SR)・従属栄養生物呼吸(HR)・リターフォール量(LF)・樹木の成長量(⊿B)を測定し、LFと⊿Bの和から純一次生産量(NPP)を、NPPとHRの差からNEPを推定した。

HRはカラマツ林・コナラ林・アカマツ林でそれぞれ2.3・3.1・2.6 (tC yr-1 ha-1)となった。コナラ林で高い値を示したことからリターの分解性の違いがHRに影響を及ぼす可能性が示唆された。NPPはカラマツ林・コナラ林・アカマツ林でそれぞれ3.5・5.0・6.1 (tC yr-1 ha-1)となり、アカマツ林が高い値を示した。また、⊿Bの季節変化を調べると年の前半では落葉樹の方が高く、常緑樹は冬に高い値を示した。常緑樹は低い成長能力を成長期間の長さで補っている可能性が示唆された。NEPはカラマツ林・コナラ林・アカマツ林でそれぞれ1.3・1.9・3.5 (tC yr-1 ha-1)となった。カラマツ林はNPP・HRともに低く、NEPは小さい値となった。一方、アカマツ林は高いNPPが貢献して大きなNEPを示した。コナラ林も比較的高いNPPを示したがHRも高かったため、NEPは小さい値となった。


日本生態学会