| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-052 (Poster presentation)

台風撹乱後の樹木の枯死率の種間差とその要因

*齊藤哲(森林総研), 永松大(鳥取大・地域), 山川博美(森林総研・九州), 新山馨(森林総研)

台風は森林生態系において主要な撹乱要因のひとつである。特に台風頻度の高い西南日本の照葉樹林では、台風が個体群動態に及ぼす影響は大きいと考えられる。台風による撹乱時では,あたる風の強さや個体サイズなどが樹木の枯死に影響することが指摘されている。多様な種が共存する照葉樹林においてはその影響の仕方も多様であると考えられる。本研究は枯死率に及ぼす影響の種間差を調べるため、照葉樹林の長期間のモニタリングから7期間(それぞれ2または4年間)分の主要樹種の個体群動態を解析した。それぞれの期間にうけた風の強さと期間初期のサイズ分布が枯死率に及ぼす影響について解析し,それらの種間差を調べた。風の強さとサイズ分布の指標を説明変数として枯死率を一般化線形モデルで表し,AICを用いて有効な変数を選択した。枯死率およびその時系列変化は種によって大きく異なった。多くの種で風の強さが枯死率に影響していた。また,サイズの影響が見られた種もあった。イスノキは風の強さとサイズの両方に影響を受け,また両者の交互作用もみられ,大きいサイズほど風による被害を受けやすい傾向がみられた。一方,イヌガシ,サカキ,バリバリノキなど亜高木層を優占する種でも風の強さとサイズの両方に影響を受けたが,交互作用はみられなかった。つまり,いくつかの亜高木種は風の強さとは関係なく大きいサイズで枯死率の高い傾向がみられた。


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