| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-118 (Poster presentation)

最適化モデルによるサドガエルの生息地の質と連結性の同時推定

*山中美優(東大院・農), 小林頼太(東環工専), 関谷國男(新潟大), 宮下直(東大院・農)

分断景観に生息する生物の保全を考えるうえで、生息地間の連結性の評価は重要であるが、マトリクスの異質性が高い景観における生物の移動分散の評価は不十分であった。遺伝子流動による移動の評価は、さまざまな分類群に適用可能な有望な手法である。しかし、これまでの研究では、生息地の質やサイズは暗に同一とみなされてきた。野外で真の連結性を推定する場合には、生息地の質やサイズのちがいを考慮したうえで、マトリクスの抵抗性を推定する必要がある。

本研究では、佐渡島固有種のサドガエル(Glandirana sussura)を対象に、景観遺伝学的手法を用いて、生息地の質と連結性を同時推定し、生息地間の遺伝距離を説明する要因を探る。遺伝距離は、佐渡島中央部の22集団376個体を対象に、マイクロサテライトDNAを用いて算出した。この遺伝距離を応答変数、生息地の質やサイズと生息地間の移動抵抗性を説明変数とした行列重回帰モデルから、最適化アルゴリズムによって各生息地の質やサイズと各景観要素の抵抗性を推定した。生息地間の移動抵抗性の推定には、サーキット理論を用いた。


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