| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-119 (Poster presentation)

都市における花形質の多様化

*丑丸敦史,小林敦美(神戸大),堂囿いくみ(東京学芸大)

21世紀に入り、都市化によって送粉共生系が変化することが世界的に数多く報告されるようになってきたが、この送粉共生系変化が植物の送粉成功や花の表現系形質にどのような影響をもたらすのかは明らかになっていない。この研究では、メガシティである大阪・神戸大都市圏の里山域から都市域にかけて分布するツユクサ12集団について、訪花昆虫相、訪花頻度、繁殖成功、花形質を調査を行った。その結果、都市域のツユクサ集団は里山域に比べて、訪花頻度が減少し、繁殖における花粉制限が生じていることが明らかになった。また、訪花頻度の低い(花粉制限のみられた)集団では、両性花において雌蕊が短く、雌雄離熟の程度が小さくなっていること、雄花が少なくなっていることが示めされた。この調査結果は、都市化が花の表現系形質の多様化を促進する選択圧をもたらしうることを示唆するものであった。


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