| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-127 (Poster presentation)
都市公園と里山林の植物相の比較
藤井俊夫(兵庫県立人と自然の博物館)・長谷川匡弘(大阪市立自然史博物館)
市街地に残された植物の数少ない生育地として都市公園などがある。このような都市部に残された公園と二次的自然がよく残された里山林に生育する植物相の特徴を明らかにすることは、今後の都市公園での在来植物の保全や利用について基礎的な情報を提供すると考えられる。2013年から2014年にかけて大阪周辺の都市公園および大阪・兵庫の里山林の植物相を調査し、既存の文献も利用し、都市公園35地点、里山林10地点の植物相を比較検討した。全体で1617種が出現し、共通種は628種、都市公園のみに出現した種は242種、里山林のみに出現した種は747種であった。共通種はカタバミ(43:出現地点数、以下同様)、エノキ(42)、セイタカアワダチソウ(42)など人里植物、外来草本などが多かった。都市のみに出現した植物はアレチノギク(23)など外来草本ばかりであった。里山のみに出現した植物はサルトリイバラ(10)、ヤマイタチシダ(8)など、在来の林縁・林床植物が多くみられた。都市公園では在来のシダ植物が少ないことが明らかとなった。里山および都市公園について種数面積曲線を作成すると、両者のグラフに傾きの違いが認められ、都市公園では面積が小さくなると植物種が急激に減少することが認められた。都市公園では35地点のうち、一地点でしか見られない植物も255種(都市公園に出現した870種のうち29.3%)に上った。里山林では1375種のうち403種(29.3%)、全体では1617種のうち442種(27.3%)となった。都市部では、小面積でも複数の緑地があるほうが植物の種多様性を維持する上で重要と考えられる。