| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-129 (Poster presentation)

仙台湾南部海岸エコトーンの4年間とこれから: 自然環境の自律的再生と復興工事

*平吹喜彦(東北学院大・教養), 南蒲生/砂浜海岸エコトーンモニタリングネットワーク

2011年の東日本大震災の直後から、仙台湾南部の砂浜海岸域で実施されてきた生態学的な諸調査によって、砂浜海岸エコトーンの破壊と自律的再生にかかわる多様なパターンと躍動的なプロセスが明らかになってきた(南蒲生/砂浜海岸エコトーンモニタリングネットワーク、2011-2015; 環境省自然環境局生物多様性センター、2013、2014)。一方、被災地の安全・安心をいち早く確保すべく実施されてきた復旧・復興工事が、砂浜海岸エコトーンの貴重な自然環境や景観を著しく攪乱している事例が少なからず指摘され、懸念や改善、さらには「自然生態系の生物多様性と環境保全機能の利活用を組み込んだ防災・減災インフラストラクチャー」の構築が提示されてきた(佐々木ほか、2013; IUCN、2013; 日本学術会議統合生物学委員会・環境学委員会合同自然環境保全再生分科会、2014)。

そこで本発表では、仙台湾南部の砂浜海岸エコトーンを見渡す視点から、植生と立地に着目して、(1)不均一な破壊とそれに呼応した自律的再生の実態、(2)中央・地方行政部局による復旧・復興工事の実態、(3)行政部局や学術・市民団体、地域住民などによる保全・修復活動の実態について4年間の概要を報告し、(4)これらのかかわりあいの中で見いだされた「自然環境と共存する防災・減災事業を進める際の課題」に言及する(『特集 東日本大震災と砂浜海岸エコトーン植生: 津波による攪乱とその後の回復』、保全生態研究19巻2号159-226ページを参照)。

本研究は文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(S0801024、S1103002)、JSPS科研費(24510332、24810024、25830153)、東北学院大学、環境省環境研究総合推進費(1-1405)の助成を受けた。


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