| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-132 (Poster presentation)
干ばつは,平均的な降水量より低い降水量が一定期間以上継続し,当該地域の自然および人々に大きな影響をもたらす.特に,乾燥地の天水農地においては,干ばつは死活問題である.干ばつは,くり返し発生する極端現象であることが,樹木の年輪や水素と酸素の安定同位体比を利用した研究から明かになっている.干ばつのような極端な気象現象は生物群集の組成やその進化に影響を与えることが指摘されているものの,種の多様性が干ばつ時やその後の植生に与える影響については様々な議論がある.
そこで,本研究では,近年多発する乾燥地の干ばつに着目し,干ばつ年およびその前後でのNDVIの変化と種数との関係について考察することを目的とした.
既存研究より,乾燥地における非灌漑の耕地および草地では,土地利用期間や土壌型が干ばつ年およびその後のNDVIに影響を与える可能性が示唆されたため,これらの要素も本研究では干ばつ年およびその前後のNDVIに関する変数とした.対象地は,スペイン,インド北部,サブサハラアフリカの西部および東部の4地域とした.これらの地域には,耕作もしくは草地としての土地利用期間に違いのある地域(グリッド)が含まれている.土地利用履歴に関するデータはHYDEの紀元0年以降を利用した.干ばつに関するデータは,災害データベースであるEM-DATの1980年から2000年までの干ばつの記録を参考にし,対象地における干ばつ年を決定した.干ばつ年の決定の条件は,干ばつ期間の前後3年間もしくは2年間、干ばつが無いこととした.干ばつ状態にあるグリッドの特定には、干ばつ指数(scPDSI)を利用した.種の多様性に関するデータは,Ellisら(2012)によって提供されている植物種数のデータを利用した.NDVIについては,AVHRR NDVIの1980年から2000年までのデータセットを用いた.